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2014年5月31日 (土)

アトリエの二人

「卓上の七月」は、昭和7年、 光太郎49歳、智恵子46歳の時に作られた詩であります。 この頃から、智恵子には、精神分裂の兆候が現れてくるのです。 翌 昭和8年、光太郎は、病状が回復しない智恵子の療養をかねて、智恵子の生まれ故郷である福島県の那須、安達太良山、磐梯山周辺の温泉を巡る旅に出たのでした。。。。。  

Img69523仙台文学館 レストラン「杜の小径、特別メニュー「アトリエの二人」。こちらのブログも見て下さい。    『今日の特別ランチメニューは、高村光太郎・千恵子展にちなんだ 「アトリエの二人」。 光太郎の詩 「卓上の七月」よりヒントを得て作った と楽しそうに語る。本を読んでその中からヒントを得て造るという姿に、感動する。』 とこのとです。     

智恵子は、「東京には本当の空がない」と云う・・・・ふるさとへの最後の旅で見た安達太良山や磐梯山には、「本当の空」があったのでしょうか? 智恵子は、「本当の空」を見ることができたのでしょうか・・・・?

Cimg5885_2「山麓の二人」、光太郎(50歳)と智恵子(47歳)。 この旅の時 作られた詩、「山麓の二人」です。なんとも、心が痛む、痛ましい詩であります。-------------------------------------------------------------------------------

山麓の二人    高村光太郎

二つに裂けて傾く磐梯山の裏山には
険しく八月の頭上の雲に目をみはり
裾野とほく靡(なび)いて波うち
芒(すすき)ぼうぼうと人をうづめる
半ば狂へる妻は草を籍(し)いて坐し
わたくしの手に重くもたれて
泣き止まぬ童女のやうに慟哭する
――わたしもうぢき駄目になる
意識を襲う宿命の鬼にさらはれて
のがれる途(みち)無き魂との別離
その不可抗の予感
――わたしもうぢき駄目になる
涙にぬれた手には山風が冷たく触れる
わたくしには黙つて妻の姿に見入る
意識の境から妻の姿に見入る
わたくしのい縋(すが)る
この妻をとりもどすすべが今は世に無い
わたくしのこころはこの時二つに裂けて脱落し
闃(げき)として二人をつつむこの天地と一つになつた。


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