ポラーノの広場
この童話も、賢治の死後に発表された作品であります。 「ポラーノの広場」は、モリーオ市郊外の野原の中にあると伝えられ、その場所に、夜行って歌ったり、そこで風を吸ったりすれば元気になり、また、そこでは、オーケストラが演奏していて 誰でも上手に歌が歌えるようになる、 と伝えられている聖なる祭りの場所であります。 こうした祝祭的で神聖な「ポラーノの広場」を選挙のために酒盛りの場にしてしまった、悪徳資本家風 密造酒作りのボス、山猫博士(ディストゥパーゴ)と、以前の「ポラーノ広場」を自分たちの手にとりもどそうとする、キューストやミーロら若者たちとの社会闘争が描かれています。(笑) 昭和初期に流行った共産主義思想やレーニン主義思想が反映されてる童話でしょうか?(笑)
旧盛岡高等農林学校本館 (現 岩手大学農業教育資料館) 裏側の「ポランの広場」。 その伝説の「ポラン広場」では、オーケストラが奏でられ、ツメクサの明かりと、銀河の光に包まれて、愉快に歌い明かされておりました。。。。。。童話「ポラーノの広場」には、 賢治が作詞作曲した「ポランの広場」という歌が挿入してあります。 キューストたちがポラーノの広場に辿りつくと、オーケストラがワルツを演奏していて、山猫博士たちが酒盛りをしていました。キューストたちが、「酒を飲まないから水が欲しい!」というと、山猫博士は、オーケストラに演奏させて歌い出し、歌合戦になり、さらに決闘に発展していくのです。
ライトアップされた「ポランの広場」。
『「おいおい間違っちゃいかんよ。」山猫博士がいきなりどなりだしました。 「何だって。」ミーロはあっけにとられて云いました。 「今朝ワルトラワーラの峠に電気栗鼠など居た筈はない、それはいたちの間違いだろう。もっとよく考えて歌ってもらいたいね。」 「そんなことどうだっていいんだい。」ミーロは怒って壇を下りました。すると山猫博士が立ちあがりました。 「今度は我輩わがはいうたって見せよう。こら楽隊、In the good summer time をやれ。」楽隊の人たちは何べんもこの節をやったと見えてすぐいっしょにはじめました。 山猫博士は案外うまく歌いだしました。
「つめくさの花の 咲く晩に
ポランの広場の 夏まつり
ポランの広場の 夏のまつり
酒を呑まずに 水を呑む
そんなやつらが でかけて来ると
ポランの広場も 朝になる
ポランの広場も 白ぱっくれる。」
ファゼーロは泣きだしそうになってだまってきいていましたが、歌がすむとわたくしがつかまえるひまもなく壇にかけのぼってしまいました」 「ぼくもうたいます。いまのふしです。」 楽隊はまたはじめました。 山猫博士は、「いや、これはめずらしいことになったぞ。」と云いながら又大きなコップで二つばかり引っかけました。 ファゼーロは力いっぱいうたいだしました。
「つめくさの花の かおる夜は
ポランの広場の 夏まつり
ポランの広場の 夏のまつり
酒くせのわるい 山猫が
黄いろのシャツで 出かけてくると
ポランの広場に 雨がふる
ポランの広場に 雨が落ちる。」
デストゥパーゴがもう憤然として立ちあがりました。 「何だ失敬な、決闘をしろ、決闘を。」 わたくしも思わず立ってファゼーロをうしろにかばいました。』
#「ポランの広場」はこちらをどうぞ。リズミカルでなかなか良い曲です。賢治は、本当に音楽が好きで音楽の形式、リズム、音色などを童話に取り入れようと真剣に考えてました。
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